會長の「Reader論」ver.7 先崎学著 今宵、あの頃のバーで 日本将棋連盟

著書の先崎学氏を皆さんご存知でしょうか?将棋といって思い浮かぶ人と言ったら、ちょっと古い?方ですと大山15世名人とか中原誠16世名人でしょうか?
最近の人であれば「羽生善治」と大概の人は答えるでしょう。もちろん私會長も、羽生2冠とは同じ学年ということもあって、そして大のファンでもあるため間違いなくそのように答えますね。
実は、この羽生善治2冠を中心とした、いわゆる「羽生世代」がここ15年程度という長い間将棋界の中心を担ってきました。森内名人(羽生さんは実は今は名人ではない。今年森内さんに奪われました。)、佐藤康光九段、丸山忠久九段、藤井猛九段、郷田真隆九段、三浦弘行八段・・・などがその主要なメンバーで、羽生2冠相手にタイトル戦を戦うという構図がずっと出来上がっていたのでした。
この本の著書である先崎学八段は、年齢は羽生2冠と同じ年で、A級といって将棋界のトップ10入りをしたことが2年あり、またNHK杯(あの日曜の10時過ぎから昼までテレビでやってるやつです)に優勝したことはあるので実力はあるのでしょうが、ただなかなかタイトル戦に絡むことができず、先ほどのメンバーと比較すると同じ羽生世代ではあるものの実績的にちょっと劣っているのかなぁという感じがする棋士です。
ただ、将棋の解説などは非常に面白おかしく話をしてくれるので、お笑い棋士として(こんなことを言ったら怒られそうですが)人気がある方なのです。

その先崎八段が週刊文春で連載している「先ちゃんの浮いたり沈んだり」から選りすぐられたものを編集して出版されたのがこの『今宵、あの頃のバーで』です。
将棋の棋士の方は普段の生活はどのようにして過ごしているのか?研究ってどんなことをしているのか?対局中は何を考えているのか?棋士同士の仲ってどうなのか?飲みに行ったりするのか?・・・ある意味、研究者・求道者としてのシビアな部分、僕らと変わらない一市民・一生活者としての部分が垣間見ることができ、この本を読むことによって、ファンである僕たちが普段から抱いている疑問、棋士の人に聞いてみたい質問の回答が解けてしまうような気がします。

特に自己啓発本ということでもなく、また難しい将棋の解説本でもなく、棋士の生活の裏側を覗くという感覚で読んでいただけると非常に面白く、そしてスラスラと読めてしまうので、お薦めしたい本として今回紹介させていただきました。