會長の「Reader論」ver.8 秋山徳蔵著 味-天皇の料理番が語る昭和- 中公文庫 (舌-天皇の料理番が語る寄食珍味 中公文庫)

久々の登場です。私會長が読んだ本で、面白いなと思った本を紹介するこのコーナー。
本日は、秋山徳蔵さんを取り上げたいと思います。って?ところで、秋山徳蔵さんって皆さんご存知ですか?
最近では、井上旭さん、石鍋裕さん、中村勝宏さん、三国清三さんなどが有名でしょうか。少し前だと村上信夫(帝国ホテル総料理長)さん、小野正吉(ホテルオークラ総料理長)さんなどでしょうかね・・・
そう、皆さん日本を代表するフレンチシェフの巨匠たちなんです。
いま挙げたムッシュ村上や小野さんよりもはるか前、日本フレンチの草創期を支え、大正・昭和の2代の「天皇の料理番」として腕を振るったのが秋山徳蔵さんなんです。
秋山徳蔵さんがフランスでの修行を終え(当時から渡欧して修行する方がいたんですね。言葉の問題もそうですし、人種差別など、大変な苦労があったようです)、宮内省大膳寮に就職したのが大正2年、初代主厨長になったのが大正6年といいますから、ずいぶん前の話ですね。

この本は、そんな秋山徳蔵さんのフレンチ修業時代の話、天皇陛下の日ごろの食事メニューの話、宮中饗宴の話、食事作法の話など、「天皇の料理番」ならではの角度から語られた非常に興味深い構成になっております。
興味を引いた話の一つに、昭和天皇は、あまり好き嫌いをおっしゃらなかったようですが、永い間お仕えをしていて察しがついたようで、めん類の特にざるそばはお好みの一つだったようです。また、うなぎ、中華料理、てんぷらなどもお好きだったそうです。
お酒に関しては、明治天皇はかなりの酒豪だったそうで、大正天皇も多少好まれたそうですが、昭和天皇は少年時代におとそで非常に苦しい思いをされたこともあるようで、お酒は召し上がられなかったそうです。
その他、いろんなエピソードや食の知識が満載の内容になっている面白い本ですので、機会がありましたら読んでみてください。

※「天皇の料理番」というと、堺正章さんが主演したドラマを思い出します。私會長がまだ小学3、4年生ころの放映ではなかったでしょうか?秋山さんの修業時代から天皇の料理番まで上り詰めていくまでのストーリーを描いたものですが、関東大震災や太平洋戦争といった時代背景も手伝ってか、なぜかハラハラドキドキしながら見ていたのを思い出します。ドラマの中で出てきた「カツレツ」の言葉が妙に耳の奥に残っています(秋山さんが初めて美味しいと感動した料理として位置づけられていたような気がします)。
 ところでこのドラマ、若かりし頃の明石家さんまも出演しているんですよ。